メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームとは。簡単に、わかりやすく説明すると、腹部に脂肪がたまりやすく、高血圧や高血糖、脂質代謝の乱れが組み合わさることで、心臓病や脳卒中といった病気になりやすい状態を指します。ただし、単にお腹が大きいだけであっても、必ずしもメタボリックシンドロームとは言えません。
日本で多い死因の2つ目は心臓病、4つ目は脳卒中です。これらは、血管が硬くなってしまう「動脈硬化」が原因で起こることが多いです。動脈硬化を進める要因(危険因子)には、高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症(悪玉コレステロールや中性脂肪が多い状態)、肥満が含まれます。これらの危険因子は1つだけでも動脈硬化を進行させる可能性がありますが、複数の危険因子が同時に存在すると、どれもそれほどひどくなくても動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中のリスクが高まることがわかっています。
具体的には、内臓脂肪型肥満(お腹の内側にたまる脂肪)が高血圧や糖尿病、脂質異常症と結びついて、動脈硬化を進める危険が高まるとされています。日本では、この考え方を取り入れて「特定健康診査・特定保健指導」という制度があります。この診査は、「メタボ健診」と呼ばれることもありますが、単にメタボリックシンドロームを見つけるためだけでなく、動脈硬化を予防するための検査も含まれます。
「メタボ」という用語は、メディアで省略されることもあり、耳にすることが増えてきました。しかし、ただ太っていることやお腹が大きいことだけが意味ではありません。正しい理解をして、心臓病や脳卒中を予防しましょう。
メタボリックシンドロームの症状
内臓脂肪型肥満と関連する病気
「内臓脂肪型肥満」とは、特にお腹の周りに脂肪がたまるタイプの肥満のことを指します。このタイプの肥満は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧症といった病気を引き起こしやすくなります。特に男性に多く見られます。
危険因子が重なるとリスクが増加
「肥満」、「高血糖」、「脂質異常」、「高血圧」といった危険因子が重なるほど、心疾患(心臓病や脳卒中)のリスクが増加します。これらの危険因子がいくつか一緒に存在すると、その人の心臓病や脳卒中を発症する危険度が高まります。
日本人にとって、主な死因として「ガン」「脳卒中」「心臓病」があります。特に「脳卒中」「心臓病」は「動脈硬化」という状態が原因とされています。この動脈硬化を引き起こす危険因子として、生活習慣病が問題になっています。特に内臓脂肪がたまると、高血圧や糖尿病、高脂血症などの症状が一度に多く出やすくなります。そして、これらの症状があっても初期段階では自覚症状が少ないことが多く、それぞれの病気が進行しやすくなることが分かっています。
内臓脂肪の蓄積によって、高血圧や糖尿病、高脂血症などの症状が一度に複数出る状態を「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と呼びます。今の生活では、座っている時間が長い仕事や車の利用が増えることで運動不足になる人が多く、また食事も豊かになっていることから、メタボリックシンドロームの人が増えています。このシンドロームは、肥満だけではなく、内臓脂肪の蓄積や高血糖、脂質異常、高血圧などの症状を基に診断されます。皮下脂肪による肥満よりも、このメタボリックシンドロームの方が、動脈硬化性の疾患や糖尿病のリスクが高まるとされています。
これらの病気は、長い期間にわたって自覚症状がないまま進行することが多いため、こまめな健康チェックや生活改善が大切です。例えば、肥満、高血糖、高血圧、高脂血症といった危険因子を持たない人と、持つ人との比較では、危険因子を持つ人の方が心臓病のリスクが5倍から36倍にも上がることが研究で示されています。
メタボリックシンドロームの原因
肥満には、お腹のまわりに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満(りんご型)」と、お尻や太ももに脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満(洋なし型)」の2つのタイプがあります。
内臓脂肪型肥満は、お腹の中や腸の周りにたくさんの脂肪がたまる状態を指します。一方で皮下脂肪型肥満は、お尻や太ももに脂肪がたまるイメージです。
内臓脂肪型肥満は、飲みすぎや食べすぎ、栄養の偏り、運動不足などの生活習慣が重なることで引き起こされます。さらに、これらの生活習慣が偏っていると、高血圧や脂質異常症、高血糖といった状態も起こしやすくなります。
こうした状態が進行すると、内臓脂肪型肥満に高血圧や脂質異常症などが加わり、メタボリック症候群と呼ばれる状態につながっていきます。このメタボリック症候群は、命に関わる大きな病気のリスクを高めることが分かっています。つまり、日々の生活習慣が、私たちの健康状態に大きな影響を与えているのです。
では、なぜ生活習慣病が重なって起こるのでしょうか?メタボリック症候群を持つ人々の特徴は、体が少し太めで、濃い味の食べ物を好んで食べ、運動をあまりしない傾向があります。このような生活習慣が続くと、お腹の中の腸の周りに脂肪がたまることが分かっています。これが内臓脂肪と呼ばれるものです。一方で、皮膚の下にたまる脂肪を皮下脂肪といいます。
内臓脂肪の蓄積が生活習慣病の原因となっており、これがメタボリック症候群を引き起こし、動脈硬化を招く要因とされています。また、内臓脂肪は悪玉因子と呼ばれる物質を分泌することが知られており、これが動脈硬化を進める役割を果たすことも分かっています。
内臓に脂肪がたまると、TNF-α(アルファ)、IL-6などの物質が生まれます。これにより、血糖を下げる働きを持つインスリンの作用が悪くなり、高血糖や脂質異常症、高血圧が起こりやすくなります。この状態が長く続くと、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞といった動脈硬化性の疾患が発症しやすくなります。そのため、肥満であっても内臓脂肪が蓄積されていない限りは、メタボリックシンドロームとは診断されません。また、日本人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少ないとされており、そのためにインスリン抵抗性が重なることで、糖尿病や他の生活習慣病のリスクが高まることが指摘されています。最近では、肝臓などの臓器に脂肪が蓄積されることが、メタボリックシンドロームの原因につながるという研究も報告されています。
メタボリックシンドロームは、運動不足や偏った食事、睡眠不足といった生活の乱れ、そしてストレスや喫煙などの要因が重なって引き起こされることがあります。特に偏った食事は、メタボリックシンドロームに大きく関与しており、適切なカロリーを守らない食事や、多すぎる脂肪・糖分・塩分を摂りすぎることには注意が必要です。
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