この記事の目次
不動産の相続登記とは
・不動産を取得した場合、法務局に不動産の登記の申請をする必要があります。
・相続や売買で不動産を取得しても、勝手に法務局で登記を書き換えてくれるわけではありません。
・不動産を取得した人が自分で登記の申請をしなければ、不動産の名義変更をすることができません。
・法務局では申請時に提出された書類のみを参考にして審査をします。そのため、提出された書類に不備があると、不動産の名義変更をすることができませんので注意が必要です。
・不動産の登記は、第三者に容易に名義変更できないように厳格に管理されています。
・不動産の登記は必ずしないといけないものではありませんが、名義は前回の所有者のまま変わりませんので、後日、不動産を売却しようとしても売却できないなどのトラブルが発生する場合がありますので、不動産の名義が変わるときは必ず不動産の登記をしたほうがいいです。
・不動産の登記をする場合は、司法書士に依頼しないとできないと思われている方が多いみたいですが、実際には自分で調べて登記をすることができます。
・不動産がたくさんあったり、権利関係が難しくて自分でできないと思ったときは、不動産登記の業務を行っている司法書士に相談されたほうがいいです。
・銀行の預貯金の相続手続きに比べて、不動産の相続手続きの場合は、提出する書類もたくさんあり、厳格な手続きになっていて、自分でやろうとすると、大変時間と手間がかかります。そのため、司法書士の専門家に依頼する方が多いのですが、自分で調べて登記申請をすることもできます。
遺産分割協議をする場合の相続登記の流れ
遺産分割協議をするときの相続登記の流れを具体的にあげると以下のようになります。相続登記をご自身でされる場合は、大変時間と手間がかかりますが、具体的な例があれば自分の状況に合わせて行動しやすくなると思います。よろしければ、相続登記をするときに参考にしていただければ幸いです。
自筆証書遺言がある場合の相続登記の流れ
① 相続財産と相続人を確認する
・亡くなられた方の戸籍謄本を集める
・法務局で不動産の登記事項証明書を取得する
・市区町村役場で不動産の固定資産評価証明書を取得する
② 相続登記に必要な書類を準備する
・相続人全員分の戸籍謄本、住民票、印鑑登録証明書を集める
③ 遺産分割協議をする。
・相続人全員で遺産分割協議を行う
・遺産分割協議書を作成する
④ 相続登記申請書を作成する。
・相続登記申請書を作成する
・収入印紙を購入する。
⑤ 相続登記の申請をする
・戸籍謄本などを添付して相続登記申請書を法務局に提出する。
⑥ 相続登記の完了
・相続登記完了後の書類を受け取り、法務局で相続登記完了後の登記事項証明書を取得する。
公正証書遺言がある場合の相続登記の流れ
① 相続財産を確認する
② 相続登記に必要な書類を準備する
③ 相続登記申請書を作成する。
④ 相続登記の申請をする
⑤ 相続登記の完了
遺言書が無い場合の相続登記の流れ
① 相続財産と相続人を確認する
② 相続登記に必要な書類を準備する
③ 遺産分割協議をする。
④ 相続登記申請書を作成する。
⑤ 相続登記の申請をする
⑥ 相続登記の完了
相続登記に必要な書類
相続登記をする場合は、法務局で厳格な手続きが必要となります。法務局では提出された書類のみで審査をするため、書類が不足していたり、不備がある場合は審査を通らずに、相続登記ができなくなってしまいます。
提出する書類は大きく分けて2つに分けられます。
① 自分で作成するもの
② 役所から取得するもの
となります。
役所から取得する書類は、自分の住所を管轄している市区町村役場で取得することができますし、遠方の場合は郵送で取得することができます。郵送で取得する場合は、送られてくるまでに時間がかかりますし、間違った役所に依頼をしても書類が届きませんので、確認してから依頼してください。
提出書類の中に、亡くなられた方の出生から死亡するまでの戸籍謄本がありますが、子の書類を取得する場合は手間と時間がかかる場合がありますので注意してください。引越しや結婚などで本籍を移していると、申請する役所が数箇所になり、書類が集まるまでに数ヶ月かかる場合もあります。
相続登記を申請するときに必要な書類
① 自分で作成するもの
・登記申請書
・相続関係説明図
・遺産分割協議書 (遺産分割協議の場合)
・委任状 (代理人に依頼をする場合のみ)
② 役所から取得するもの
・収入印紙 (法務局、郵便局など)
・亡くなられた方の戸籍謄本 (市区町村役場)
・亡くなられた方の除票 (市区町村役場)
・相続人全員の戸籍謄本 (市区町村役場)
・不動産を相続する相続人の住民票 (市区町村役場)
・相続人全員の印鑑証明書 (遺産分割協議の場合)(市区町村役場)
・不動産の固定資産評価証明書 (市区町村役場)
③ その他
・遺言書 (遺言書がある場合。自筆証書遺言の場合は検認済みのもの)
登記事項証明書について
登記事項証明書は、全国の法務局で取得することができます。
登記事項証明書を取得する方法
・法務局の窓口で取得する
・管轄の法務局へ郵送で申請する
・登記・供託オンライン申請システムから請求する
法務局の窓口で取得する場合、不明な天などをその場で質問できたり、追加で他の書類も追加することができるので一番お勧めです。しかし、平日しか対応していないため、時間がない方は、郵送かオンラインで取得してください。
法務局の窓口で取得する場合
・法務局においてある「登記事項証明書交付申請書」に必要事項に記入します。
・登記事項証明書交付申請書に収入印紙を添付して窓口に提出します。
法務局のホームページ 管轄のご案内
管轄の法務局へ郵送で申請する
・登記事項証明書交付申請書を法務省のホームページからダウンロードします
・必要事項を記入して、手数料の収入印紙を添付して法務局に郵送します。
・収入印紙は郵便局やコンビニエンスストアで購入できます。
・切手を貼った返信用封筒も同梱して送ります。
登記・供託オンライン申請システムから請求する
・登記ネット・供託ネットのホームページからオンライン申請します
動画でわかるオンライン登記申請など登記・供託オンライン申請の操作体験がありますので、とてもわかりやすいです。
・登記事項証明書は指定した法務局窓口で受け取ることもできますし、指定した送付先に郵送してもらうことができます。
・オンライン請求のほうが、他の方法より費用が安く、郵送請求より早く登記を受け取ることができます。
登記事項証明書の確認方法
1.不動産の名義人を確認する
・不動産の名義人が被相続人の名前になっているか確認します。
・住所と名義人が違う場合は、間違った登記事項証明書を取得した可能性がありますので、正しい登記事項証明書を取得しましょう。
・被相続人が所有する不動産についてすべて調査できているか
2.登記事項証明書を確認する
・登記されている被相続人の住所、氏名は死亡時の住所・氏名と同じか確認します。
登記されている被相続人の住所と死亡時の住所が違う場合は、住所のつながりを証明する書類として、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を用意する必要となる場合があります。
・被相続人の単独名義になっているか、共有名義なのかを確認します。
不動産の名義人が単独名義になっている場合は、その不動産は相続の対象となりますが、共有名義になっている場合は、被相続人の持分のみが相続の対象となります。
・不動産の名義人が祖父母の名義になっていないか確認します。
不動産の名義人が祖父母の名義になったままになっている場合は、祖父母の相続人がたくさんいる可能性がありますので、相続人調査が必要となります。
・抵当権や根抵当権などの担保が付いていないか確認する。
住宅ローンなどで借金をした場合、不動産に抵当権が付いている場合があります。完済しているにもかかわらず、登記に抵当権が付いている場合がありますので気をつけてください。
祖父母のときに設定されていた抵当権がそのまま残っている場合もあります。登記に抵当権が付いている場合は、不動産を売却できないので、抵当権などの担保を抹消する登記が追加で必要となってきます。
マンションの登記事項証明書
マンションの登記事項証明書を確認する場合は注意が必要となります。マンションは全体でひとつの建物ですが、部屋ごとに販売されていますので、登記も部屋ごとになります。そのため、部屋ごとに所有者が変わります。部屋ごとに登記がされている建物のことを区分建物といいます。マンションは土地の上に建てられていますので、土地も一体化して登記されている場合があります。その理由は、マンションの土地は、マンションの各部屋の所有者の共有財産になります。そのため、相続や売買で各部屋の所有者が変わってしまうと、そのたびに土地の登記を変更しないといけなくなるからです。
不動産の情報について
不動産の情報を調べる資料には、登記事項証明書、登記済権利証、登記識別情報通知書、登記事項証明書、登記簿謄本、名寄帳があります。また、法務局にある地番検索システム、ブルーマップでも不動産の地番や家屋番号を調べることができます。
登記事項証明書について
・不動産の情報は国が管理しています。法務局で登録されている不動産の登記事項証明慮を請求すれば、取得して確認することができます。
・登記事項証明書には、
- 不動産の住所
- 地番・家屋番号
- 面積
- 所有者
- 担保
などが掲載されています。
・手数料を支払えば、所有者本人以外の人でも登記事項証明書を入手することができます。
・不動産には土地と建物の2種類あります。登記事項sy7王名所を申請する場合には土地については不動産の所在に加えて地番、建物については不動産の所在と家屋番号が必要となります。
一般的な住所と不動産の所在・地番の違い
法務局で管理されている不動産には地番や家屋番号が設定されています。この地番は私たちが普段使っている住所と違っている場合が多いので気をつけてください。
不動産の所在・地番・家屋番号について
不動産の所在・地番・家屋番号は以下の書類に書かれています
納税通知書
毎年5月ごろに所有者宛に送られています。
登記済権利証あるいは登記識別情報通知書
登記完了後に、登記名義人に対して登記識別情報を通知されるために交付される書類です。
以前に取得した登記事項証明書あるいは登記簿謄本
登記の申請が受け付けられると、電子化された登記簿にその申請内容が記録されます。その内容を不動産ごとにどんな内容の登記がされているかを証明し、どんな登記がされているかなどを確認できるようにした書類です。
法務局にある地番検索システム、ブルーマップで調べる。
最寄りの法務局に地番検索システムがある場合は、住所から地番を調べることができます。地番検索システムがない場合は、ブルーマップという地図帳みたいなもので調べることができます。法務局によっては、地番検索システムとブルーマップの両方がない場合がありますし、電話で照会してくれる場合もあります。一度、法務局に問い合わせてください。
名寄帳を取得する。
その人が所有しているすべての不動産について一覧形式で表示されている書類を取得します。
名寄帳を相続人が取得する場合に必要な書類
・被相続人の除籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・相続人の本人確認書類
※ 相続登記をするときに必要となる固定資産評価証明書は、市区町村役場で取得することができます。
相続登記の費用
相続登記の費用は大きく分けると
① 実費
② 専門家への報酬
となります。自分で相続登記をするときは実費だけですみますが、司法書士などの専門家などに依頼をするときは、専門家への報酬が発生します。
① 実費
1.登録免許税 ※不動産の価格によって金額が変わります。
不動産の年度価格の約0.4%
2.戸籍謄本などの書類を取得するための費用
・戸籍謄本:1通450円
・除籍謄本:1通750円
・改製原戸籍謄本:1通750円
・戸籍の附票:1通200円~300円
・住民票:1通200円~300円
・印鑑登録証明書:1通300円
・固定資産評価証明書、名寄帳 1通200円~400円
・登記事項証明書 1通600円
・交通費、郵送費、手数料など
② 専門家への報酬
依頼した専門家、事務所や地域、手続きの内容によっても報酬額が変わってきますが、司法書士の場合5万円~10万円程度、弁護士の場合10万円以上かかります。