今回は事業承継の相続対策について解説いたします。事業承継をする方法として、息子や娘に会社を継がせる「親族内承継」がもっとも多いです。ただ、この方法による場合、それなりにリスクも高いので注意が必要です。相続対策をしていただくとこのリスクを回避できる場合があります。ご参考にしていただけると幸いです。
この記事の目次
事業承継の相続トラブル
社長が生前に相続対策をしておかないと、会社が倒産したり、買収さてしまう可能性があります。
<背景>
・社長と専務は兄弟で会社を経営していました。
・社長が発行済みの株式の80%を持っていました。
・専務が発行済みの株式の20%を持っていました。
・発行済みの株式の総額は3億円でした。
・社長には配偶者と子が2人いましたが、会社の業務に携わっていませんでした。
・専務の子は会社の社員として働いていました。
・社長が亡くなり、相続が開始しました。
・社長の配偶者とその子は発行済みの株式を相続しましたが、相続税を支払うだけの資金がなかったため、売却を検討することになりました。
・会社には資本準備金がほとんどなく、株式を買い取るだけの資金がありませんでした。
<この状態で検討できる内容>
・配偶者の税額の軽減を利用するために株式をすべて配偶者が相続する。
・友好的なM&Aが進められる買い手を見つける。
・会社が社債を発行して相続税を支払う。
・会社を廃業や解散し清算する。
となります。
<社長の生前にできた相続対策>
- 会社が契約者で社長を被保険者、保険金の受け取りを会社にして生命保険に加入する。
社長が死亡したときに保険金が入るので、これを相続人から株式を買い取る資金にする。
② 社長が契約者で被保険者、相続人が受取人にして生命保険に加入する。
保険金を受け取った相続人が、保険金を相続税の資金にする。
③ 青年課税制度を利用して、社長の株式を専務の子に贈与する。
少しずつ株式を贈与していくことにより納税額を抑えることが出来ます。
④ 専務の子を役員に登用して、役員賞与を手厚く支給して、株式を購入させる。
専務の子を次期社長として育てることで会社を存続させることが出来ます。
いずれの対策にもメリットとデメリットがあります。
詳しくは専門家にご相談ください。