代償財産とは、相続開始後遺産分割が始まる前に、相続財産が盗まれたり、壊れてしまって、ほかの再建に変わったもののことを言います。
たとえば、
物が壊れてしまった時の、損賠賠償請求権や
家が燃えてしまった時の火災保険請求権
などです。
相続開始時に存在した相続財産が、遺産分割前に無くなっていた場合は、通常、遺産分割の対象から外れます。
しかしその代わりに、動産や不動産を売却した場合はその代金
物が壊れてしまった場合は損賠賠償請求権
家が燃えてしまった場合は火災保険請求権
が存在しています。
代償財産は、本来であれば相続財産として
遺産分割の対象となるはずだったた財産の代わりになるものなので
遺産分割の対象となると思われますが、
代償財産を遺産分割の対象とするのかどうかについて,
最高裁判所第二小法廷昭和52年9月19日に判決がでています。
(家裁月報30巻2号110号)
「共同相続人が全員の合意によつて遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却したときは,その不動産は遺産分割の対象から逸出し,各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し,これを個々に請求することができる」
と判示しています。
この判決によりますと,代償財産は,原則として,遺産分割の対象とはならないということになります。
これについて,最高裁判所第一小法廷昭和54年2月22日の判決では
(集民第126号129頁)
「共有持分権を有する共同相続人全員によつて他に売却された右各土地は
遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとともに,
その売却代金は,これを一括して共同相続人の一人に保管させて遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情のない限り,相続財産には加えられず,
共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得すべきものである」
と判示しています。
そのため,代償財産は遺産分割の対象とはなりませんが、,
共同相続人全員が遺産分割の対象に含める旨の合意をしている場合には,
遺産分割の対象となるということになります。