公正証書遺言は、被相続人の意思が明確に示される法的効力の強い遺言形式です。この遺言に基づいて相続が行われるため、遺言者の意思が反映されやすく、相続人間の争いを避けやすいのが特徴です。しかし、遺留分の問題や遺言の変更・取消しなど、注意すべき点もあります。相続手続きは複雑で専門知識が必要とされるため、公正証書遺言がある場合の相続においても、専門家に相談しながら適切に対応することが重要です。

公正証書遺言がある場合の相続
公正証書遺言がある場合の相続


公正証書遺言の作成

公正証書遺言を作成するには、いくつかの要件が定められています。まず、被相続人本人が公証人の面前で遺言の内容を直接述べる必要があります。代理人による遺言作成は認められていません。また、証人2名以上の立会いも必須となっています。
遺言の内容としては、相続財産の処分方法や相続人の指定などを記載します。遺言者の意思が明確に示されるよう、具体的な記述が求められます。作成後は、公証人が遺言書を保管し、相続手続きの際に提出されることになります。

公正証書遺言に基づく相続

公正証書遺言がある場合、その内容に従って相続が行われます。遺言者の意思が明確に示されているため、相続人間の争いを避けやすいのが特徴です。ただし、遺留分の問題には注意が必要です。遺留分とは、法定相続分の一定割合で、遺言によっても減らすことのできない相続分です。遺言の内容が遺留分を侵害する場合、相続人はその部分について遺言の無効を主張できます。
また、相続人の範囲についても遺言で定められることがあります。法定相続人とは異なる相続人が指定されている場合は、その通りに相続が行われます。

公正証書遺言と遺産分割

公正証書遺言では、遺産の具体的な分割方法も定められることがあります。遺言執行者が選任されている場合、その者が中心となって遺産分割を行います。遺産分割協議の際は、遺言の内容を踏まえつつ、相続人全員の合意を得る必要があります。
一方で、遺言の内容と異なる遺産分割も可能です。ただし、その場合は遺言の変更や取消しの手続きが必要となります。遺言者の意思を尊重しつつ、相続人全員の合意を得ることが重要です。

公正証書遺言の変更と取消

作成後の公正証書遺言は、基本的に変更や取消しが可能です。遺言者自身が直接公証人の面前で変更や取消しの手続きを行う必要があります。遺言者の意思が不明確な場合は、遺言の無効を主張できる可能性もあります。
遺言の変更や取消しには一定の要件が定められているため、相続手続きの際は専門家に相談することをおすすめします。

事例紹介

Aさんは、公正証書遺言を作成し、自身の財産を長男のBさんに相続させることを定めていました。Aさんが亡くなった後、Bさんは遺言に基づいて相続手続きを進めましたが、次女のCさんから遺留分の侵害を理由に遺言の一部無効を主張する訴訟が起こされました。裁判の結果、Cさんの主張が一部認められ、Bさんの相続分が減額されることになりました。

このように、公正証書遺言がある場合でも、遺留分の問題などにより紛争が生じる可能性があります。相続手続きを円滑に進めるためには、遺言の内容を十分に理解し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

公正証書遺言がある場合の相続のまとめ

公正証書遺言は、被相続人の意思が明確に示される遺言形式です。相続手続きにおいても、遺言の内容に従って進められるため、相続人間の争いを避けやすいのが特徴です。ただし、遺留分の問題や遺言の変更・取消しなど、注意すべき点もあります。
相続に関する手続きは複雑で、専門知識が必要とされます。公正証書遺言がある場合の相続においても、専門家に相談しながら適切に対応することが重要です。

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