今回は土地の相続を兄弟が放棄する場合について解説します。
土地の相続を兄弟が放棄する場合、相続権が兄弟に移ってきている状態になります。
相続人には以下のように順位があります。
第1順位は子
第2順位は父母
第3順位は兄弟姉妹
と定められています。
先順位の子や父母がいない場合、あるいは相続放棄をした場合に兄弟姉妹に相続権が移ってきます。この相続権が兄弟姉妹に移ってきたときに、相続放棄をすることができます。
相続の順についてはこちらをご参照ください
この記事の目次
相続放棄とは
相続財産には、不動産や預貯金などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産が存在する場合もあります。
マイナスの財産についてはこちらをご参照ください
マイナスの財産はできれば引き継ぎたいと思っている方が多いと思います。そこで、相続放棄という制度を利用していただくと相続財産を引き継がなくてもよくなります。借金などのマイナスの財産が多い場合や、相続人の一人に財産を相続させたい場合に他の相続人が権利を放棄するなどのケースがあります。
通常、相続権をもった方ご自身の意志により、相続放棄をする場合が多いのですが、場合によっては、強制的に相続権を取り上げるというパターンもあります。相続放棄をする場合は、プラスの財産を引き継いで、マイナスの財産だけを相続放棄をすることができません。また、一度相続放棄をすると、あとから相続権をを復活させることはできませんので、気を付けてください。
兄弟(複数人)で相続放棄する場合
相続人が複数いて、そのうちの複数人が相続放棄を行いたいという場合、相続人の代表者が相続放棄の手続きをするのではなく、相続人それぞれが個別に相続放棄の手続きをする必要があります。相続財産がプラスの財産よりマイナスの財産の方が多くて、相続放棄をする場合は、他の相続人に迷惑が掛からないように、相続放棄をする前に他の相続人に相続放棄をする旨を伝えてください。
もし、相続人の誰かと連絡がつかないときは、「熟慮期間」が3ヶ月設けられていますので、その間になんとか連絡をとって伝えてあげてください。相続放棄をした場合、相続放棄をしなかった相続人に対して負債などのマイナスの財産が請求されることになります。
相続放棄と遺産放棄のちがい
相続財産を放棄する方法には、相続放棄と遺産放棄の二つがあります。言葉上は、財産をなにも相続しないので同じような意味ととられがちですが、内容は違いますので注意が必要です。
相続放棄とは
相続放棄は、被相続人から受け継ぐ相続財産を受け継ぐ権利を放棄して、すべての相続財産を受け継がないとする手続きです。この相続財産には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれています。相続放棄の手続きをする場合は、家庭裁判所に対して申述して、受理されることで完了します。正式な書類を作成したり、必要書類を集めたりする必要があります。相続人全員が集まって行う遺産分割協議で相続放棄をすることはできません。
一般に、借金などのマイナスの財産が多い場合には、この相続放棄をする場合が多いです。しかし、相続放棄の手続きが完了すると、原則としてもうやり直すことはできませんので注意してください。
遺産放棄とは
遺産放棄は相続放棄とは少し性質が違って、相続財産のうちプラスの財産を受け継がないとする約束事です。遺産放棄をする場合は、家庭裁判所へ申し立てる必要はありません。相続人全員が集まって行われる遺産分割協議のなかで決定します。遺産分割協議で決定した内容を遺産分割協議書に記載しますので、遺産放棄した旨も遺産分割協議書に記載されることになります。
しかし、遺産放棄は相続放棄と違い、マイナスの財産を放棄したことにはなりません。プラスの財産のみを受け継がないという約束事ですので、負債などのマイナスの財産がある場合は、それを相続してしまうことになるので注意してください。
遺留分の放棄とは
相続分については、法律で定められた遺留分というものがあります。
どんな場合でも、最低限認められている相続分です。
しかし、これをも放棄したい場合は、遺留分の放棄という手続きを行う必要があります。遺留分の放棄の手続きは相続開始前に行うものですが、もし相続開始してしまった場合は相続放棄と同義です。
遺留分についてはこちらをご参照ください。
相続財産を放棄する方法
遺産放棄の手続きをする場合は、相続人全員が参加した遺産分割協議で、遺産放棄する旨を伝えて、遺産分割協議書に記載してもらうだけで完了します。
遺産放棄の場合は、プラスの財産だけ放棄をすることができますが、マイナスの財産は引き継ぎます。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も放棄をする場合は、相続放棄の手続きをする必要があります。 相続放棄の手続きをする場合は、必要書類を揃えて家庭裁判所へもっていくことで完了します。
必要書類はこちらをご参照ください。
相続放棄の手続きは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することができますが、専門家の報酬が発生しますので、費用が掛かります。この費用は誰に依頼するかによって変わってきます。また、もし司法書士や弁護士費用を安くしたいならば、法テラスを利用するという方法もあります。
まとめ
土地の相続を兄弟が放棄する場合は、家庭裁判所へ相続放棄の手続きをする必要があります。相続放棄をすると、ほかの相続人に迷惑がかかる場合があるので、相続放棄する場合は、事前に他の相続人に伝えてください。
また、相続放棄をする場合は3ヶ月という期限がありますので、相続の手続きはなるべく早く行ったほうがいいです。