遺言では自分が亡くなった後の財産の承継先を直接渡す人しか指定することが出来ません。2段階、3段階と財産の承継先を指定したい場合は、次の承継者に遺言を書いてもらう必要があります。
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相続人にたくさんの子がいる場合
例えば、父親が亡くなり、相続人に妻と子が5人いた場合、本人が遺言書を書いていない状態で亡くなると、妻と子5人で遺産分割協議をする必要があります。相続財産を相続分で分割できれば問題ありませんが、事情によっては相続分で分割できずに相続争いに発展する場合があります。
しかし、家族信託を使えば、2段階、3段階に財産の承継先を指定することが出来るので、相続争いに発展することを防ぐ効果があります。
相続人に子がいない場合。
例えば、父と母と長男と二男がいて、それぞれ配偶者がいましたが子がいなかったとします。
親は先祖代々守ってきた不動産をずっと守っていきたいと思っています。長男とは同居をしていて、介護の面倒を見てもらったので、長男に土地と建物の不動産を相続させて、県外に住んでいる二男夫婦には預貯金を相続させたいと思っていました。しかし、長男に土地と建物の不動産を相続させた場合、長男夫婦には子がいないので、不動産が長男の嫁の家族のほうに行ってしまうのではないかと懸念しています。父親は不動産を最初長男に相続させて、次に二男の子に相続させたいと考えています。
遺言にて実現する場合は、親が遺言で土地と建物を長男に相続させ、二男に預貯金を相続させるように指定します。次に長男にも遺言を書いてもらい、土地と建物を二男の子に相続させると指定します。しかし、遺言は後から書き直すことが出来るので、事情によっては二男に土地と建物を相続させることが出来なくなるかもしれません。
家族信託を利用した場合、父親が亡くなった場合、長男に土地と建物を相続させ、その後、長男が亡くなった場合、土地と建物を相続させるように指定することが出来ます。