今回は、家族信託のやり方や流れについて簡単に説明いたします。
最近、家族信託をする方がだんだん増えてきています。
・家族信託は遺言や成年後見制度よりも、自由に財産管理ができる制度、
・認知症になっても家族で財産管理ができる制度
等々、各種メディアの影響などにより、家族信託について検討されている方も増えています。
家族信託に興味があるけど、どうすれば家族信託ができるのか?
大まかな手続きの流れを知りたい!という方もいると思います。
そこで、家族信託のやり方と流れについて簡単に説明いたします。
この記事の目次
家族信託のやり方と流れ
ステップ1 家族信託についての情報を集める。
家族信託を利用したいと考えた場合、ある程度家族信託について情報を集めてください。インターネットで家族信託について検索するといろいろ情報が出てきます。また、家族信託のチラシや小冊子を見ると家族信託の制度についてなんとなくわかると思います。YouTubeでも家族信託について解説している動画がありますのでとても参考になります。
このブログの下の方で家族信託の小冊子を無料でダウンロードできますので是非ご活用ください。
ステップ2 家族の方と家族信託について話し合う。
家族信託について調べた資料や情報をもとに、ぜひ家族の方と話し合ってみてください。家族の方に家族信託の制度について話してみたり、家族信託の制度を利用して将来どういうことをしたいか。もし、自分が認知症になった場合はどうしてほしいのか。介護が必要になった場合は、在宅で介護をしてほしいのか、それとも、施設に入りたいのかできるだけ具体的に話し合ってみてください。
ステップ3 家族信託の専門家と相談する。
家族信託の制度についてある程度理解して、家族の方も協力してくれる場合は
一度、家族信託の専門家に相談をしてください。
家族信託を上手に利用すれば、認知症対策や相続対策をすることができますが、状況によっては、遺言や成年後見制度を利用したほうがいい場合があります。家族信託の専門家と家族の方とよく話し合って決めます。
ステップ4 家族信託の設計をする。
家族信託の専門家を交えて家族信託の設計を行っていきます。
自分の財産を家族のだれに管理してもらうか、その財産から利益を得る人を誰にするかどんな財産を管理してもらうか、家族信託をする目的は何かなどを決めていきます。
ここで、
家族の方に財産を管理してもらう人のことを委託者、
委託者の方の財産を管理する人のことを受託者
受託者が管理している財産から給付を受けたり、利益を得る人のことを受益者,受託者が管理している財産のことを信託財産といいます。
家族信託ができるかどうかの最大のポイントは受託者です。認知症等、将来のリスクに備えて、家族信託で対策する場合、信頼ができて、財産管理をしてくれる人が必要になります。いくら家族信託をしたくても信用ができて財産管理をしてくれる人がいない場合は家族信託の契約をすることができません。
受託者は、委託者に代わって、信託財産の管理をしていきますので信頼できる人間係性が必要になります。
ステップ5 家族信託契約書を公正証書化します
家族信託の専門家と家族で話し合って、設計した内容をまとめて家族信託契約書を作成します。家族信託は、委託者と受託者との間で契約を締結して成立します。
契約は委託者と受諾者の合意で成立しますが、信託財産について、金融機関等の第三者と手続きをする場合は、家族信託契約書を公正証書化する必要があります。
家族信託は自分でできる場合がありますが、家族信託契約書に問題があると、後日トラブルが発生する可能性があります
契約書の作成を専門家に依頼した場合、お客様は契約締結日に公証役場に行って、公証人から家族信託の契約内容について説明を受けます。その後、本人と受託者が契約書に実印を押して、契約が成立します。
ステップ6 信託口口座の作成と不動産等の名義変更を行います。
公証役場で家族信託契約を締結して、公正証書化された家族信託契約書を使って信託口口座の作成と不動産等の名義変更を行っていきます。
①金銭については信託口口座で管理
金銭を家族信託で管理する場合、受託者は信託財産を管理するための口座を作成して管理します。信託口口座に入金するお金は委託者のために管理します。信託財産と受託者の財産とは分けて管理することが必要になります。
信託財産の中に現金がある場合は、信託口口座の作成が必要になります。
口座名義は『A(本人の名前)信託受託者B 信託口』のようにします。
信託口口座を作成すると、受託者が管理する委託者のための預金口座であることが明確になり、受託者の財産との分別ができるようになります。
②不動産等については名義変更の登記を行うこと。
不動産を信託財産に入れる場合、不動産の名義の一部をを委託者から受託者に変更することになります。売買や贈与、相続の場合と同様に『所有権移転』の登記を申請する必要があります。
登記の原因は、『信託』になります。名義を委託者から受託者に変更することに抵抗があると思います。しかし、家族信託は委託者に代わって、受託者に一切の管理権限を与えることで受託者が不動産の管理ができるようになります。
名義が委託者から受託者に変わりますが、家族信託を原因とした名義変更の場合は、贈与税は発生しません。
[…] 家族信託は親(委託者)と家族(受託者)の契約ですので、成年後見制度のように、裁判所に申述する必要はありません財産管理も柔軟にすることができ、裁判所などによる制限を受けません。 […]