今回は家族信託の信託口口座開設について解説いたします。
家族信託の契約をするときに信託財産の中に、現金や預貯金を設定します。
受託者が委託者の現金や預貯金を管理するときは、受託者の財産を分けて管理する必要がありますので、新規に口座を開設して管理することになります。この家族信託のために新規に開設する口座のことを信託口口座といいます
この記事の目次
家族信託の信託口口座について
家族信託専用の口座開設に対応できる金融機関は少しずつ増えてきていますが、口座を簡単に開設できるわけではありません。
家族信託用の口座を開設するまでには、家族信託契約書を公正証書で作成し、金融機関で審査を受ける必要があります。
金融機関との契約内容を打ち合わせる
家族信託で信託口口座を開設する場合は、最初に、家族信託契約の内容について金融機関と話し合いをします。
金融機関がチェックする項目には以下のようなものがあります。
・ 家族信託契約の目的
・ 委託者、受託者、受益者等の続柄
・ 推定相続人の確認
・ 家族同士の人間関係
司法書士や行政書士などの専門家に依頼して家族信託の契約書を作成していても、銀行側の立場から意見される場合があります。
銀行側の意見を家族信託の契約書に反映させると、信託口口座開設の審査が通りやすくなります。
家族信託契約書を公正証書化する
後日トラブルが発生しないように、家族信託契約書は公正証書化します。
金融機関によっては公正証書で作成した家族信託契約書でない場合、信託口座を開設できないときがあります。家族信託契約書が公正証書化されていると、信託専用口座の開設がスムーズに進みます。
金融機関にて家族信託専用の口座を開設する
金融機関に指定された公正証書をはじめとした必要書類を提出したら、いよいよ信託専用口座の開設が行われます。
金融に提出する主な書類は下記の通りです。
1)本人確認書類
書類として、必要なものは、「口座を開設する本人である受託者の本人確認書類」です。
ただし、金融機関によっては委託者や受益者についての本人確認書類が必要とする場合がありますので事前に確認が必要です。
また、本人確認書類が必要になる方は原則的には金融機関に出向する必要があります。
2)家族信託契約書
家族信託契約書を基に金融機関は信託口口座を開設します。まず口座開設予定の金融機関に流れを確認したほうがいいです。
注意点としては、下記のようなことが挙げられます。
・ほとんどの金融機関では公証人作成の公正証書による家族信託契約書のみしか受け付けないので、公証人の関与なく自分で作成した家族信託契約書では金融機関で受け付けてもらえない可能性があります。
・家族信託契約書を公正証書化する前に金融機関で家族信託契約書の内容をチェックする場合があります。
家族信託契約書を公正証書化しても、銀行側の要件を満たしていない場合、信託口口座を開設できない場合があります。。
3)届出印
信託口口座の印鑑(受託者の印鑑)になります。
この3つはどの金融機関でも求められますが、
他にも印鑑証明書や口座開設手数料などが必要になります。
その他にも金融機関により取り扱い条件が変わってきますので、事前に確認しておいたほうがいいです。
家族信託専用の信託口口座を開設するメリット
信託口口座が開設されると、受託者が破産しても信託財産を確実に守ることができます。
信託財産は個人の財産とは切り離されて管理されますが
信託財産を受託者個人の口座で管理していた場合、受託者が破産すると債権者に財産の権利を主張される可能性があります。
家族信託を行う際は、専用の信託口口座を用意しましょう。
家族信託専用の口座が作れなかった時の対処法
受託者名義の新たな口座を開設して信託財産のみを管理してください。
新たな口座を作成した後に、通帳に委託者と受託者、受益者の名前を記入して、口座番号を家族信託契約書に記載してください。
仮に受託者が破産してしまった場合でも、家族信託用の口座であることを説明ができるようにしてください。
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