今回は、家族信託の帳簿について解説いたします。
家族信託を開始すると、受託者には受益者のために信託財産を管理する責任が発生します。
受託者は自分の判断で信託管理しますが、受託者の好き勝手に使ってはいけません。
受益者などから信託財産の財産状況などの請求があれば、資料を提示して説明する必要があります。
家族信託が始まる前は、親から資金援助を受けて自分の好きなものを購入したり、新築費用などに充てることもあったかもしれません。
しかし、受託者として管理する上では、信託目的に従って使うことになります。
受託者の信託事務が適切にされ、計算や会計を明確にしておく必要があります。
信託財産の管理は受託者がしますが、受託者の財産ではありませんので
注意してください。
この記事の目次
【信託の計算】
信託法では
第十三条 信託の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
信託法
(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務)
第三十七条 受託者は、信託事務に関する計算並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
2 受託者は、毎年一回、一定の時期に、法務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
3 受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
と定められていますが、
信託法37条2項で貸借対照表や損益計算書が掲げられているのは、あくまで例示ですので、家族信託の場合は、企業会計の原則に従う必要はありません。
また、家族信託の信託帳簿は一つの書面でなくても、いくつかの書面をつなぎ合わせても問題ありません。
例えば、固定資産税の明細や預金通帳の写し、信託契約書に添付した財産目録など、別の目的で作られた書面も使うことができます。
(信託計算規則4条1項)
-信託帳簿は、一の書面またはその他の資料として作成することを要せず、
他の目的で作成された書類又は電磁的記録をもって信託帳簿とすることができる。
会社の会計が作成するような厳密な帳簿ではなくても大丈夫です。
家計簿みたいな感じで作成すれば問題ないです。
でも、領収書やレシートは絶対に無くさないよう注意してください。
信託事務日誌と信託事務支出表の例
不動産経営などをしていて、多額の収益がある場合は、税理士さんに依頼した方がよいです。
帳簿類の保存は10年、信託の結了(清算事務迄完了したとき)があったとはその時までとなっていますので、ご注意ください。
家族信託の小冊子を作成しました。
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家族信託と帳簿の参考条文
(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務)
信託法
第三十七条 受託者は、信託事務に関する計算並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
2 受託者は、毎年一回、一定の時期に、法務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
3 受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
4 受託者は、第一項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、その作成の日から十年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第六項ただし書において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
5 受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から十年間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
6 受託者は、第二項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、その作成の日から十年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
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