原則、家族信託は認知症後に契約することができません。
社会の高齢化と一緒に、認知症を発症する高齢者がだんだん増えてきています。
認知症を発症するといろいろなトラブルが発生します。その中でも財産管理は大きな問題になります。
親御さんが認知症になると、意思表示ができなくなるため、不動産を売却したり、銀行から預貯金を下すことができなくなります。また、家族の方もすることができません。

家族信託は認知症後に契約することができますか?

そのため、親御さんが認知症になった時に備え、親御さんが認知症になったとき、親御さんの財産はどうなるのか、今だからできる解決策を考えておくことは重要です。

厚生労働省が2014年に発表した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によりますと、
2025年には65歳以上の約20%が認知症を発症するとされています。
つまり、認知症はどの家庭にでも発症する可能性があります。

親が認知症になった後に財産を管理する場合は、家庭裁判所へ申し立てを行い、
成年後見人を選任してもらわなければなりません。

家族信託について

財産の認知対策方法として「家族信託」があります。

家族信託では、自分の資産の管理や処分を家族に任せることができます。

財産を家族に預ける立場の「委託者」、財産を預かって管理・運用・処分する権利を持つ「受託者」、その財産から利益を受ける「受益者」で構成されます。

受託者は委託者の信託目的に従って受益者のために財産を管理処分します。

委託者が認知症になる前に設定するので、家族信託の契約をした後に、親御さんの意思決定能力が低下しても受託者が財産を管理・処分することができます。
つまり、家族信託の契約をすることにより、親御さんの認知症による財産凍結を防ぐことができます。

家族信託のメリットと成年後見人との違い

家族信託と似た財産管理方法に、成年後見制度があります。

成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人を法律的にサポートするための制度です。

成年後見制度と家族信託にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、こちらをご参照ください。

親御さんと将来に備えて家族信託の話をするのは難しいと思います。
親御さんが認知症になるのか、またいつ認知症になるのかはわかりません。
しかし、いざという時に親御さんの財産が凍結されて慌てることがないよう、準備は万全にしておくことが大切です。

将来に備えて、家族信託という方法を検討してみてください。

また、親御さんが認知症と診断されても家族信託ができる場合があります。こちらをご参照ください。

家族信託の小冊子を作成しました。

家族信託は認知症後に契約することができますか?
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