特別寄与料が認められるケース

特別寄与料が認められる要件

・被相続人に対して、無償で療養看護やその他の労務などを提供した
・無償の療養看護や労務の提供により、被相続人の財産が維持・増加した

従来の寄与分の制度は、療養看護のほかに、被相続人の事業に関する労務の提供なども対象となっていましたが、特別寄与料の制度では「療養看護」だけが対象になっています。しかも無償であることが条件となっています。

特別寄与料の要件

「被相続人の財産が維持・増加した」とは

特別寄与者に該当する人が、被相続人の療養看護に貢献することで、
被相続人は介護サービスを利用する必要がなくなり、利用回数やサービス内容を抑えることができます。
したがって、介護サービスの利用を抑えられれば、被相続人は余計なお金を使わずに済むので「財産の維持」に貢献したとみなされるわけです。
そのため、直接的に資産額が増えることだけを指しているのではありません。

特別寄与料が認められるためには


特別寄与料は、遺産分割協議によって決められます。
そのため、高額な特別寄与料を請求しても、相続人全員が遺産分割協議において同意しない限り、特別寄与料が支払われることはありません。

遺産分割協議で特別寄与料が認められるためには信憑性が高い資料が必要となる場合があります。以下のような資料や証拠があれば、特別寄与料の算出に役立ちますし、ほかの相続人にも認められます。

・介護日誌、日記などの記録
・介護に必要な薬、おむつなどのケア用品、交通費や医療費などの領収書やレシート

特別寄与料を請求できる方は、これらの証拠資料をきちんと保管したほうがいいです。

特別寄与料が遺産分割協議で認められなかった場合


遺産分割協議で特別寄与料の支払いを請求しても他の相続人から認められなかった場合、特別寄与料は支払われません。

特別寄与料が支払われないことについて納得ができない場合、家庭裁判所に対して「特別寄与に関する処分の調停申立て」をすることができます。

特別寄与に関する処分の調停申立てが認められると家庭裁判所が特別寄与料の金額を定めて、相続人に対して金銭の支払いを命じてくれます。

特別寄与料の請求期限

特別寄与料の請求期限は

民法1050条2項
相続の開始と相続人を知った日から6か月以内、または相続開始から1年以内

と定められています。
そのため、特別寄与料の請求をする場合は、相続の開始を知った時から6か月内に請求するか、知らなくても死亡から1年内に家庭裁判所に対して請求する必要があります。

遺産分割協議が整わない場合、期限を過ぎてしまう可能性があります。
特別寄与料の支払いについてなかなか同意が得られない場合は、遺産分割協議中でも期限を過ぎてしまう前に家庭裁判所への申し立てを検討しましょう。

特別寄与料と相続税

特別寄与料は、被相続人からの「遺贈」として扱われるので、特別寄与者には相続税が課税されます。そのため、特別寄与料の金額が決定した日から10か月以内に相続税の申告・納付をする必要があります。

特別寄与料に課税される相続税については、税理士や税務に詳しい弁護士ご相談ください。

まとめ

新しく施行された特別寄与料の制度によって、義父・義母の介護に貢献したにも関わらず財産の相続が認められなかった子どもの配偶者なども、相続財産を受け取れるようになりました。

従来の制度では介護の貢献が報われなかった方でも、特別寄与料によって相続財産を受け取ることができますので、積極的に特別寄与料の制度をご活用ください。

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特別寄与料の要件

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