この記事の目次
<背景>
・10年前に福井太郎さんが病気で亡くなりました。
・相続人は妻の福井花子さん、長男の福井一郎さんと次男の福井二郎さんでした。
・遺産分割協議で福井一郎さんが農地をすべて相続することになり、相続人全員で遺産分割書に署名捺印しました。
・福井一郎さんは財産を相続し、相続税も納付しました。
・最近になって松本仁さんが農地の一部を譲って欲しいと言ってきました。
・福井一郎さんは松本仁さんに農地の一部を譲ってもいいと思っていますが、すでに登記をしています。
<参考>
・福井一郎さんは今から遺産分割をやり直し、遺産分割当時から、農地の一部を松本仁さんが相続し、農地のその他の部分を福井一郎さんが相続したとすることができます。
・相続人全員の合意があれば、民法上、遺産分割のやり直しをすることができます。
・遺産分割協議書の作り直しをすれば、名義変更もできます。
<問題発生>
・税務上、遺産分割協議のやり直しは、相続により一度確定した所有権の移転と考えられます。そのため、贈与税や譲渡所得税が課税される可能性があります。
・贈与で農地を名義変更するときには、農地法の許可が必要となります。
<事例結果>
・福井一郎さんは遺産分割協議書を作り直して、農地の一部を松本仁さんに譲渡しました。
・松本仁さんは贈与税を支払い、農地法の許可を得て農地の一部を取得することができました。
<考察>
・後から遺産分割をやり直すときに、相続人全員の同意が必要となります。
・不動産の遺産分割をやり直すと、贈与税などが発生する場合があります。
・遺産分割をやり直すといろいろ問題が発生する可能性がありますので気をつけてください。