遺産相続を勝手に手続きして、遺産を処分したりすると、無効となる可能性があります。一度行った手続きや処分が無効になってやり直しをすると、様々な問題が発生し、遺産相続の手続きを正しく行っていれば相続できた財産が、遺産相続の手続きを勝手に行うと、相続できなくなる場合があるので気を付けてください。

遺産相続の手続きを勝手に行った場合

有効な遺産分割協議をするためには、共同相続人全員が分割内容について合意しなければなりません。

そのため、一部の共同相続人が参加していない遺産分割協議は無効となります。

したがって、知らない間に勝手に遺産分割をされた相続人は、以下のいずれかの方法を採ることができます。

遺産分割協議のやり直し

まずは、新たに遺産分割協議を行う方法です。

一部の共同相続人が参加しない遺産分割は無効となりますので、
新たに判明した共同相続人を含めて、もう一度遺産分割協議を行い、
遺産分割協議書を作成することが必要です。

遺産相続を勝手に手続きした場合
遺産相続を勝手に手続きした場合

遺産相続は、親族間の問題です。
冷静な話し合いができる場合は、まずは当事者間で話し合います。

勝手に遺産分割をしてしまった共同相続人が、
遺産分割協議に参加していなかった相続人の権利を認めず、
冷静な話し合いができない場合や、
新たな遺産分割協議が全くまとまらない場合は、

裁判所で調停や裁判が必要となります。

遺産相続の裁判

遺産分割協議のやり直しができない場合に最初に採るべき方法としては、
一部の共同相続人を除外して行った遺産分割協議が無効であることの
確認訴訟(遺産分割協議無効確認訴訟)を提起する方法が考えられます。

そして、このような遺産分割協議無効確認訴訟は、
共同相続人全員の必要的共同訴訟となります。

裁判は、裁判所という中立な専門機関が関与するため、
最終的には判決という形で、紛争を解決することが可能です。

しかし、裁判は、一般的に長期化するため、
当事者の方の負担が重くなります。

遺産を勝手に処分した場合

遺産分割協議により、不動産、預貯金を取得した者がある場合には、
それらの財産を遺産に回復させることができるかも問題となります。

例えば、不動産の所有権移転登記が為されていた場合、
遺産分割協議が無効となると、
当該所有権移転登記も無効となります。
※ただし、さらに第三者に所有権移転をしていた場合には、
当該第三者が保護される可能性もあります。

遺産(預貯金)を勝手に引き出した場合
前の遺産分割協議により他の共同相続人が預金を取得していた場合には、
その相続人に対する不当利得返還請求をすることが考えられます。

遺産相続の時効

遺産相続において、遺産分割協議を行う場合、その期限(時効)はありません。
そのため、遺産分割が完了していない場合は、法律上は、永久に請求することができます。

また、遺産分割協議を行っていない状態で、相続人(例えば子供)が亡くなった場合、その子供の遺産分割請求権は相続され、次の世代の者(例えば、孫)が請求することが可能となります。

なお、遺産相続においては、遺産分割協議には時効がありませんが、
遺留分侵害額請求、相続税の申告、相続放棄の手続きなどは時効があるため気を付けてください。

遺産相続を勝手に手続きした場合のまとめ

遺産相続の手続きを勝手に行った場合、様々な問題が生じます。

相続人の中に遺産相続の手続きを勝手に行った方がいる場合は、再度話し合いをしてください。

話し合いがまとまらない場合は、裁判所で争うことになります。

相続争いが起きないようにするためにも、遺産相続に関しては、行政書士などの専門家にご相談ください。

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