自筆証書遺言をせっかく書いたのに無効になっては意味がありません。
そのため、このサイトでは、遺言書が無効にならないように
① 遺言書の点検方法
② 遺言書を修正する方法
③ 予備の遺言書
について書いています。
① 遺言書の点検方法
事前確認
□ 相続財産に限定して書いた遺言書ですか?
□ 身分に関する遺言や思いについて書いた遺言は、
財産について書いた遺言と別の用紙に書きましょう。
□ あなたの相続人全員を調べることができましたか
□ 相続財産の目録を作りましたか
□ 財産目録は登記事項証明書、預貯金通帳、証券などの資料を参考にして作成しましたか
必須事項
□ タイトルに「遺言書」と書きましたか
□ 全文を自分の手で書きましたか
□ 文字が消える鉛筆やボールペンで書いていませんか
□ 相続財産を分ける人を特定できていますか
□ 遺言書を書いた日付は書かれていますか
□ あなたの署名と印鑑はありますか
遺言書の内容
□ 相続人には「相続させる」、相続人以外の人には「遺贈する」と書きましたか
□ 遺言執行者を指定するときは、住所も一緒に書かれていますか
□ 難しい遺言書を書く場合や、遺言書の内容に自信がない場合は
専門家に点検を依頼するか、公正証書遺言にしましょう
□ 割合で相続財産を相続させたり遺贈する場合は、マイナスの財産も含まれます。
□ この遺言書を書いた理由を別の用紙に書きましょう
財産の書き方
□ 特定の不動産について書くときは、登記事項証明書を参考にして書きましょう
□ 特定の預貯金について書くときは、預金通帳や残高証明書などを参考にして書きましょう
□ 特定の株式投資信託などについて書くときは、銘柄など特定できるように書きましょう
遺言書の書き方
□ 文章は縦書きでも横書きでも大丈夫です。
□ 遺言者や財産を書く順番は特にきまりはありません。
□ 文字や数字、用語については特にきまりはありません。
□ 遺言書は、財産についての遺言書が1枚、その他についての遺言書が1枚になっていますか
□ 財産の遺言書とその他の遺言書の間に契印を押しましょう
□ 夫婦の場合、別々の用紙に遺言をしましょう。
□ 文字を書き間違えたり、訂正が必要な場合は新しい用紙に書き直しましょう
□ 訂正した遺言書をそのまま使う場合は、専門家に点検してもらいましょう
その他
□ 筆記用具はボールペンや万年筆で書きましょう
□ 用紙は、少し厚くて大き目の用紙に書きましょう。便箋やレポート用紙がおすすめです。
□ 封筒には、表面に遺言書と書いて、裏面に署名と印鑑を押しましょう
□ 高齢者の場合、後日、意思能力の有無で問題が発生する可能性があります。
意思能力があることを証明できる書類を添付しましょう

② 遺言書を修正する方法
遺言書に誤字脱字があったときは訂正することができますが、
訂正する方法は法律で決まっています。
1.行ごとに訂正の付記をする場合
・訂正した居場所に二本線を引く
・二本線を引いたところに押印する
・二本線を引いた行の上に「この行○文字削除、○文字加入」とかいて、その後に署名する。
2.文末にまとめて訂正箇所を付記する場合
・訂正した居場所に二本線を引く
・二本線を引いたところに押印する
・文末に「この行○文字削除、○文字加入」とかいて、その後に署名する。
訂正印は署名捺印と同じものを使います。
修正は修正ペンや修正テープは認められません。
修正が多い場合には、読みにくくなるので、遺言書の書き直しをした方がいいです。
③ 予備の遺言書
たとえば、妻にすべての財産を相続させると遺言書を書いたときに、妻が先になくなってしまうと、書いた遺言書は無効となります。
つまり、財産は法定相続人に法定相続分どおりに相続されます。
この場合、相続人全員で遺産分割協議をしてから相続手続きをする必要がありますので、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります。
妻が亡くなった後に、新しく遺言書を書くことができますが、新しい遺言書が間に合わなかったり、認知症などになってしまい、新しく遺言書を書けなくなってしまう場合があります。
そのときのために、予備的に遺言書を書くと、遺言書を新しく書く必要がなくなります。
たとえば、
「全財産を妻に相続する。
妻が遺言者より先に死亡した場合は、遺言者の財産のうち
不動産を長男、太郎に相続させ、
預貯金を次男、次郎に相続させる。」
こういう風に書いておけば、遺言書が無意味になることを防ぐことができます。