家族で住んでいた家を相続して、家の名義が被相続人のままでも住み続けることはできます。相続が発生した後、いつまでに相続登記をしなければならないといった義務はありませんので、お住いになっている家の名義変更をせずにそのまま住んでいたとしても法律違反にはなりません。
※今後相続登記は義務化される予定です。
しかし、家の名義変更をしないと今後いろいろ問題が発生します。
詳しくはこちらをご参照ください。
不動産以外の名義変更されない相続手続き
家屋の火災保険の名義変更
・火災によって家屋に損害が発生したときに、保険金から損害を填補する損害保険です。
・住宅ローンを組むときには一緒に加入しますが、満期を迎えるとそのままにしている方が多いそうです。
・築年数が古くなってくると、漏電などが原因で火事が起きる可能性がありますので気をつけたほうがいいです。
・家に誰も住まなくなり空き家になったりすると、保険の種類が住宅用ではなく一般用の火災保険に変わったり、放火や盗難などのリスクが高くなるので、掛け金が高くなったり、保険金が出なくなる場合があるので気をつけてください。
・農協の建物更生共済に加入していた場合は契約の見直しをすると払戻金を受け取れる場合がありますので、一度、確認してみてください。

・また、建物更生共済は積み立て型の保険になりますので、相続財産に含まれます。
そのため手続きをする場合は、農協指定の用紙に相続人全員の実印を押して相続手続きを行います。
入院給付金
・医療保険や生命保険の特約で付いています。
・受取人は亡くなられた方になるので相続財産となります。
・かんぽ生命では入院保険金といいます。
・入院給付金の請求をする場合は、所定の用紙に相続人全員の実印を押して手続きします。
・死亡保険金は受取人固有の財産となりますが、入院給付金は相続財産となりますので気をつけてください。
・入院給付金を請求する場合には、手術内容や入院期間などがわかる診断証明書が必要となります。保険会社によっては、自社専用の診断書が必要となる場合があり、病院で発行してもらう場合は、1通5000円以上することが多いです。
・保険会社によっては、病院の診断書や他社の診断書でも手続きできる場合がありますので、一度、保険会社に確認してみてください。
公共料金とNHK受信料の名義変更
・公共料金の引き落とし口座の変更はすぐに行わなければならないものではありません
・銀行の口座が凍結されますと、引き落としができなくなるので、請求書が届きます。
・請求書を使って、銀行やコンビニから支払うことができます。
・銀行の口座から引き落としができないからという理由で、すぐに電気やガス、水道が止まることはありません。
・電気は2ヶ月使用料を滞納し、送電停止通知書が届いてからとめられます。
・ガスも2ヶ月使用料を滞納し、ガスの供給停止の通知が届いてから止められます。
・水道は一番遅くて、請求書が届き、催促状が届き、未納通知書が届き、最後に給水停止通知書が届いてからとめられます。
・銀行には公共料金口座振替依頼書があり、これを一枚書くだけで公共料金の引き落とし口座をまとめて手続きできるので、すごく便利です。
自動車保険
・自動車の事故で亡くなられた場合は、様々な保険金の請求をすることができます。
・交通事故で亡くなられた場合は、専門の行政書士や弁護士に依頼をして交渉をしたほうがスムーズに保険金の受給ができるようになります。
・自動車保険に弁護士特約が付いている場合は、弁護士費用は全額保険会社が負担してくれます。
・自動車の名義を変更し、車検証の所有者の欄が変わる場合は、保険の名義変更も一緒にされたほうがいいです。
・自動車を引き継ぐ場合は、保険も引き継ぎますので、保険の内容を確認したほうがいいです。
・保険の中にはいろいろ制限が付いている場合がありますので、気をつけてください。
免許・届出など
・一級建築士、行政書士、社会労働福祉士などの資格は個人の資格ですので、相続人が引き継ぐことはできません。業務を引き継ぐ場合は、相続人も同じ資格を取得する必要があります。資格を持っている方が亡くなられた場合は、各協会に届ける必要があります。
・酒、たばこ、印紙などを販売していた店主が亡くなられた場合は、所属する組合に営業許可の引継ぎの手続きを行いますが、ほとんどの場合、組合の方が代理で手続きをしてくれます。
・印税は、著作権契約の内容によりますが、ほとんどの場合引継ぎをすることができます。
借家と賃貸住宅
・特に法律上の規定はありませんが、借地や借家の契約の変更はしたほうがいいです。
・借地の場合は、地主の方に連絡すれば、名義変更手続きの書類を送ってもらえますので、手続きをすれば、引き落とし口座の変更などをすることができます。
・借地の名義書換料などの名目で、地主の方からいろいろ料金を請求された場合は、借地借家法の専門家の方に相談されたほうがいいです。
株式、債券の名義変更
・相続手続きは、証券会社が用意している代表者選定届けや、遺産分割協議書で行います。
・相続セットを用意して、相続手続きを行います。
相続セットについてはこちらをご参照ください。
・相続人は亡くなられたが利用していた証券会社で新しい口座を作ってから下部の引継ぎをします。
・新しく口座を作る場合は、事前説明などを聞いてから口座を開設するため、解説で決まるまで約1時間かかります。
・高齢の方が新規に口座を開設する場合は、親族の同席が必要になる場合があります。
・他人の名前で株券を所有していた場合は、相続手続きが大変になりますので気をつけてください。
・非上場の株式を持っていたり、株主名簿に記載されている場合は、一度その会社に連絡して、相続手続きを行ってください。
・投資信託では、相続人でいくつかに分けることができる場合があります。
家族信託の小冊子を作成しました。

