今回は、家族信託と遺留分について解説いたします。
家族信託をするときに、相続人の遺留分を考慮せずに設定し、
私文書で契約書を作成することができます。
しかし、家族信託契約書を公正証書化する場合は、
公証人が家族信託の内容を確認するため難しいと思われます。
家族信託契約締結の際に、受益者連続信託を利用すれば、
受益者に相続が発生するたびにあらかじめ委託者が
指定しておいた受益者に順次移転することを決めることができます。
このとき、受益権をいったん委託者に戻ると設定しておくと、
第一次相続以外は遺留分の権利が発生しないと考えられてはいますが、
裁判所の結論はまだ確定していません。
また、家族信託の信託財産の中に預貯金がある場合は、金融機関で信託口口座を作って、そこに預貯金をを移して管理していきます。
信託口口座を開設するときに、金融機関は家族信託契約書を確認します。
そのときに、家族信託の内容が相続人の遺留分を侵害することが予想される場合は、金融機関は信託口口座を開設してくれません。
家族信託をすると委託者、受託者、受益者の関係が長期間続きます。
ひとたび紛争やトラブルが発生すると、家族信託契約が取り消され、
認知症対策や相続対策ができなくなります。
そのため、家族信託をする場合は、相続人の遺留分を考慮して
計画を立てて、契約書を締結する必要があります。
家族信託と遺留分の判例
2019年9月 東京地方裁判所 判例で遺留分を侵害した受益者連続型信託契約の一部が違法であるとして信託行為が取り消されていますので、注意してください。
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