1.自分の希望を書き出しておく
最初に取り組みやすいのが、自分の希望を書き出すことです。
難しい書類を作る必要はありません。
たとえば、
これからどのように暮らしたいか
大切にしていること
家族に伝えておきたいこと
介護が必要になった場合に考えていること
医療について気になっていること
どのような場所で生活したいか
など、思いついたことから書き出してみましょう。
文章にするのが難しければ、箇条書きでも構いません。
エンディングノートなどを利用して整理する方法もあります。
ただし、エンディングノートに書いた内容が、そのまま法的な効力を持つとは限りません。
遺言など法的な手続きが必要な場合は、別途確認することが大切です。
2.家族や信頼できる人と話しておく
自分の希望を書くだけでなく、家族や信頼できる人と話しておくことも大切です。
「自分はこう考えている」ということを伝えておけば、家族が本人の考えを知るきっかけになります。
たとえば、
「介護が必要になったら、できるだけ自宅で生活したい」
「大切な書類はここに保管している」
「これからの医療について、こう考えている」
など、話せることから始めてみましょう。
重要なのは、家族に一方的に伝えることではありません。
お互いの考えを聞きながら、少しずつ話し合うことです。
3.医療や介護について希望を整理する
将来、病気や介護が必要になったときに備えて、どのような医療や介護を望むのかを考えておくことも終活の一つです。
厚生労働省は、もしものときの医療やケアについて、本人が前もって考え、家族や大切な人、医療・ケアチームなどと話し合って共有する「人生会議(ACP)」を紹介しています。
考えておきたいこととして、
どのような生活を続けたいか
医療や介護について大切にしたいこと
誰に自分の希望を伝えておきたいか
判断が難しくなったときに、誰に自分の考えを知っていてほしいか
などがあります。
ただし、将来の状況を今からすべて予測することはできません。
一度決めたら終わりではなく、気持ちや状況に応じて繰り返し話し合うことが大切です。
4.財産や重要書類を整理する
認知症になる前に、自分がどのような財産や重要書類を持っているのか整理しておくことも重要です。
たとえば、
預貯金
不動産
保険
年金関係の書類
有価証券などの金融資産
重要な契約
その他の重要書類
などを確認しておきます。
「何を持っているのか分からない」という状態を避けるためにも、一覧表を作っておくと整理しやすくなります。
ただし、銀行口座の暗証番号やパスワードなど、重要な情報を不用意に紙へ書いて保管することには注意が必要です。
安全な管理方法を検討しましょう。
5.遺言について考える
財産を持っている場合には、遺言について早めに考えておくことも終活の一つです。
遺言には法律上のルールがあり、作成方法によって手続きも異なります。
法務省では「自筆証書遺言書保管制度」を案内しています。
遺言について考えるときは、
自分の財産を把握する
誰に何を残したいのか考える
必要な書類を確認する
法律上のルールを確認する
といった準備から始めるとよいでしょう。
ただし、相続にはさまざまな法律上のルールがあります。
家族関係や財産状況によっても対応が変わるため、具体的な遺言の内容については、必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
6.判断能力が低下した場合の制度を知っておく
認知症などによって判断能力が低下した場合に備えて、成年後見制度などの制度について知っておくことも大切です。
裁判所によると、成年後見制度は、認知症などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守るための制度です。
成年後見制度には、
後見
保佐
補助
任意後見
などがあります。
特に任意後見制度は、十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ任意後見契約を結んでおく制度です。
ただし、制度にはそれぞれ条件や手続きがあります。
「認知症になったら必ず成年後見制度を利用する」という意味ではありません。
自分の状況にどの制度が適しているのかについては、公的機関や専門家に確認しましょう。
7.デジタル情報を整理する
現代の終活で忘れてはいけないのが、スマートフォンやパソコンなどに保存されているデジタル情報の整理です。
たとえば、
電子メール
SNSアカウント
ネットショッピングのアカウント
サブスクリプションサービス
ネット銀行などの金融サービス
写真や動画
クラウド上のデータ
などがあります。
自分では当たり前に使っていても、家族から見ると「どんなサービスを利用しているのか分からない」ということがあります。
国民生活センターも「デジタル終活」について情報提供しており、スマートフォンやパソコンのロック解除方法、ネット上の資産やサブスクリプションなどについて、事前に整理しておくことを紹介しています。
ただし、IDやパスワードは非常に重要な情報です。
誰でも見られる場所にまとめて保管するのではなく、安全性を考えた管理方法を選ぶことが大切です。
終活は「一度に全部やる」必要はありません
ここまで7つの準備を紹介しましたが、最初からすべて取り組む必要はありません。
終活は、できることから少しずつ始めれば大丈夫です。
例えば最初の一歩として、
「自分がこれからどんな生活をしたいのか」
を書き出してみるのもよいでしょう。
次に家族と話し合い、その後に財産や重要書類を整理する。
そして必要に応じて、遺言や成年後見制度などについて専門家へ相談する。
このように、一つずつ進めていく方法があります。
今日からできる終活チェックリスト
まずは、次の項目を確認してみましょう。
□ 自分が大切にしていることを書き出した
□ 家族や信頼できる人に希望を話した
□ 医療や介護について考えた
□ 財産の種類を整理した
□ 重要書類の保管場所を確認した
□ 遺言について調べた
□ 成年後見制度について調べた
□ デジタルサービスを整理した
□ スマートフォンやパソコンの情報を整理した
□ 必要に応じて専門家へ相談することを考えた
全部にチェックが入らなくても問題ありません。
一つでもできたら、それが終活の第一歩です。
まとめ|認知症になる前に少しずつ終活を始めよう
認知症になる前の終活で大切なのは、将来のすべてを完璧に決めておくことではありません。
まずは、
自分の希望を整理する。
そして、
家族や信頼できる人と話し合う。
そのうえで、
医療・介護、財産、遺言、成年後見、デジタル情報などを少しずつ整理する。
このように、一つずつ準備していくことができます。
終活は、人生の終わりだけを考えるものではありません。
これからどのように生きたいのかを考える時間でもあります。
「まだ元気だから必要ない」と先延ばしにするのではなく、今日できる小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。


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